卒業式が終わり、騒がしい校門の前で卒業証書と花束を持つ蒼生は人を待っていた。 「あおい」 手を振りながら公平が近づいてくる。後ろには優二がたくさんの花を抱えてついて来た。 「遅くなってごめん。優二が後輩に挨拶してたら時間かかってさ。しまいには女子泣かせるし」 「だって、俺は彼女に気がないんだからしょうがない」 「さらっとひどいこと言うね」 「そうか?」 「そうだよ」 公平と優二は高校の三年間ずっと同じクラスだったから、とても仲がいい。蒼生は2人を見ながら小さく笑った。 「さ、帰ろう」 「腹減ったー」 「どっか行くか」 「俺ハンバーガーがいい」 「蒼生は?」 「何でもいいよ」 「じゃあハンバーガーで決定!」 近くのファストフード店で中小を食べ、公平は用事があると言って先に帰って行った。 「なんか、3年て早いな」 「うん」 「蒼生は進学だっけ?」 「専門学校にね」 「楽しいといいね」 「うん。優二も進学?」 「うん。専門学校」 「そっか」 住宅街を2人は並んで歩く。平日の昼間の住宅街はとても静かだった。 「それじゃ、またな」 「あっ、優二・・・」 「何?」 「私さ、優二のこと好きだよ」 うつむきながら蒼生は言う。 「俺も、蒼生のこと好きだよ」 「ほんと?」 「本当。でも、俺よりも蒼生のこと好きだって言ってくれる人がいると思うよ。」 「え・・・」 「じゃあ、またな」 優二はそう言って、蒼生から離れて行った。 夜、ご飯を丁度食べ終えた蒼生のところに公平が来た。 「ちょっと話せる?」 「うん」 玄関の前で、公平はあおいのことが好きだと言った。 「え?」 「別に付き合ってほしいとかじゃないよ。気持ち伝えたかっただけ」 公平は笑顔でそう言った。その笑顔はいつもとちょっと違う気がした。 「返事は、あおいに任せるから。それじゃ、おやすみ」 「うん。おやすみ」 帰っていく公平の背中を見て、優二が昼間に言っていたことを思い出した。 ー数年後。 「よ、あおい」 「蒼生、また待たせた?」 「ううん。今着たとこ」 3人は変わらずにいた。お互いの気持ちを知っていても、何も変わらなかった。公平の笑顔はいつもの笑顔だった。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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