小説

♦オールデイズ <5>☆


二人と出会って一年が過ぎ、私は公平と付き合っていた。遊びに行く時は変わらず誠も一緒で、付き合う前と変わったことは少なかった。

「二人で行けばいいじゃん」

「なんで?」

「せっかく二人付き合ってるのに、俺が行ったらなんか申し訳ないだろ」

「そんなことないって。俺もあおいもそんなこと思ってないから」

三人でご飯を食べながら誠は複雑そうな表情を浮かべる。誠が見たいと行っていた映画を見に行こうと言う話なのに、彼はなかなか首を縦に振らなかった。私と公平の二人がかりでなんとか説得して、土曜日に行くことが決まった。

「あおい」

私と公平が二人だけで会うのは、一日の講義が終わった帰り道だった。ほとんど毎日いろんなことを、私が乗るバスが来るまで話した。

「あおい?」

「なに?」

「卒業しても、こうやって一緒にいれたらいいね」

「どうしたの急に」

「いや、何でもない」

私の乗るバスが来て、公平は繋いでいた手を離した。

「また明日な」

「うん。またね」

「好きだよ」

「ありがとう。私も好きだよ」

バスが動きだしても、公平はその場で見送ってくれた。目が合うと、手を振ってくれた彼を見て、ずっと一緒にいたいと思った。


つづく





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