小説

♦オールデイズ <7>☆


たどり着いた場所は、大きな病院だった。ロビーで待っていた警察の制服を着た人に連れられて静かな廊下進んでいき、一つの部屋に通された。中では、公平にそっくりな男女がいた。男性は黙ってベッドを見下ろし、女性はハンカチを目に押し当てて泣いていた。

「間宮公平さんのご両親です。こちらにどうぞ」

警察官に促され、ゆっくりと震える足をベットに近付けた。公平の父親は、私に気付き小さく礼をして場所を空けてくれた。私も礼を返して、また一歩ベットに近付く。

公平が白い布団の上に寝かされていた。目には白い布がかけられていたが公平だと分かった。数時間前まで一緒に笑っていた人が、もう二度と話せないということを認めたくない自分がいた。

「貴方があおいさんですね」

公平の父親が落ち着いた静かな声で言った。雰囲気と目元が公平によく似ていた。

「竹崎蒼生です。はじめまして」

「公平からよく聞いていましたよ。家じゃいつもあおいさんの絵を描いていた」

彼の目から一粒の涙が流れた。

「公平は一人息子だった。まさか、こんな急に死ぬなんて・・・」

死因は交通事故だった。居眠り運転をしていた運転手が信号無視をして、公平一人が渡っていた横断歩道に入ったらしい。私は静かな公平を見ても、なぜか泣かなかった。


つづく


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