小説

♦オールデイズ <8>☆


大学に行く気になれず、いつの間にか公平の葬式の日になっていた。

「蒼生、公平の葬式行こう?」

病院に行ったあとに向かったのは、独り暮らしをする誠のアパートだった。誠は何も言わずに、数日間泊めてくれた。魂の抜けたような私に、彼は入学式で着た私のスーツを着させて二人で家を出た。

葬式場には、痩せて少し顔色の悪い公平の両親が迎えてくれた。

「あおいさん、来てくれてありがとう。誠くんも久しぶり。中へどうぞ」

式は身内と数人の友人たちで静かに行われた。中央の壇に飾られた遺影は水族館に行ったとき、誠が撮ったものだった。誠は、友人代表の挨拶で前に出ていた。

「公平とは大学のオープンキャンパスで初めて会い、それからまだ数年しか経っていないのにもう何年もずっと一緒にいるような感覚がします。出会った頃から明るくて、絵が好きで、話が面白くて、ずっとそばにいたいと思っていました。なので今、貴方との突然の別れに驚きを隠せません。もっと一緒に美術について語って、いろんな場所に蒼生と公平と三人で行きたかった。公平の早すぎる死はここにいる人だけでなく、たくさんの人に悲しみを与えていることでしょう。僕はまだ、立ち直ることが出来ないかも知れませんが、公平の夢だった芸術家になることを僕自信も目指して少しずつでも頑張っていこうと思います。
最後に、公平を生んでくれた両親と公平に出会えたことに感謝して別れの挨拶とします。」

誠の挨拶を聞いて自然と流れ始めた涙は止まることを知らず、数日分の思いが一気にあふれた。


つづく

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