小説 2

甘くないラブレター そのさん



一緒に住み始めたある時、君は俺からの手紙を持ってきた。長かったり短かったり、その時によって違う二十数通の手紙を君が全部持っていてくれたことが純粋に嬉しかった。

「拓也からのラブレター」

そう君が言ったとき、君と残りの人生全てを一緒に生きていきたいと思った。
俺も、君からの手紙をラブレターと呼んでいたから。愛の言葉なんて一つもない、ただお互いの日々を綴った手紙。あんなに書くのを悩んだのは、不器用な俺なりに本当の気持ちを伝えたかったからかもしれない。

「甘くないラブレター」その言葉は俺たちを現すのにはピッタリの言葉だった。


end

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