小説 2

お前。



何度メールを問い合せても、いらないメルマガばかりが届く。

どこ行ったんだよ・・・

付き合って3年目、一緒に住み始めて半年。初めての大きなケンカだった。初めて彼女が声を荒らげたのを聞いた。

「わかんないよ」

彼女は、お気に入りのクッションを思いっきり俺に投げつけて言った。目にいっぱいの涙を浮かべて。そういえば、泣いたところを見たこともなかった。

出て行った彼女を必死に探す。近所で、彼女が行きそうな場所は全部探した。中学でサッカーやってたから、足には自信があったけど、さすがに夜中に3時間も走ると息が上がって苦しい。

お前じゃなきゃダメだ。
俺にはお前が必要なんだよ。

頭の中で必死に彼女に呼びかける。街灯が1本だけの、小さな公園のベンチに腰掛けて荒い息を整える。

「ごめん」

雲に覆われて何も見えない空を見上げ呟いた。

「帰ってこいよ。お前と一緒にいたいんだよ」



「ほんとに?」

突然視界に現れた、大切な人に涙がこぼれそうになった。

今、分かったよ。

「これからは、言いたいことは全部話そう。お前の全部、俺が受け止めるから」

「・・・うん」


久しぶりに手を繋いで歩いた。ぎこちなく会話をしてアパートに帰る。めちゃくちゃになっていた部屋の中をみて、顔を見合わせて苦笑いをする。こんな風に笑いあったことも今までなかった。




お前、幸せだった?
あの笑顔は本物だった?

隣を空けて待っていてくれよ。
そう遠くないうちに、そこへ行くから。






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