小説 2

悪い夢

ベットの上で仰向けになっていると、昨日の夜に聴いていた洋楽の歌詞が頭の中によぎった。

もし、あなたの恋人から別れの手紙が届いたなら・・・

滅多に体調を崩すことなんかないから、いやな考えが頭に浮かぶ。忙しいことを言い訳にして彼女に会わなくなって、もう数日が経つ。
しばらく会えない、とメールを送ってから彼女からの連絡はない。ベットから少し離れたところに置かれた携帯電話は、いつものように静かに充電器につながれていた。

ガチャリ

玄関のドアが開く音がして、聞き覚えのある足音が部屋の住人を探していた。寝室のドアが開き、薄暗く、ぼんやりとした意識のなかに彼女が映った。

「大丈夫・・・じゃなさそうだね」

「なんで?」

彼女はベットに腰掛け、はだけていた毛布を掛け直してくれた。そっと額に冷たい彼女の手が触れて、それが少し気持ちよかった。

「昨日ね、たまたま洋楽を聴いてて、その歌詞のことを考えていたら会いたくなったの。どうしてるかなと思って」

「どんな曲?」

彼女が控えめの声で歌い始めた曲に、思わず笑みがこぼれた。そういえば、この曲を教えてくれたのは彼女だった。

If your sweetheart send a letter of goodbye

静かで綺麗なメロディーは、素直に心のなかに入ってきて、気付けば夢のなかにいた。
それは悪い夢なんかではなく、二人の小さな幸せを描いたような、静かな夢だった。

もしあなたが辛いなら、ずっとあなたのそばにいるから・・・

静かなメロディーはどこまでも続いていた。


End


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