小説

小話
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「おい、グソ……アイツ帰ったぞ」

 扉の隙間から外を見ていたサメが振り返り、部屋の中を見ると皆、緊張の面持ちで席についており、一番正面にいるタカアシガニ部長は机に肘をつき手を組んでいる。
 そして、口を開き……。

「では、始めよう……」

 今ここ、株式商事グランパスで何かの開催を宣言した。



「念願の鬼ごっこ!」

 それを聞いたマイワシは両手の拳を机に叩きつけ勢いよく立ち上がった。

「残業してんのに元気やなァ」

 その隣で残業で疲れきったマグロが頬を付きながら呆れた顔をしている。
 マイワシはそんなことを気にせずテンションを上げていく。

「だって、一週間も残業してアイツの行動を調べたんですよ!」

 ほら、と言ってマグロの顔に調査結果の紙をゴロゴリと押し付けた。

「調べたのは俺とまんぼう先輩だけどな」

 鼻息荒く話しているマイワシに現実を叩き付けるサメ。その事実に対してデスクに座ったままお茶を持ち頷くまんぼう。

「細かいことはいい。で、誰が鬼をするんだ?」

 まだ、手を組んだままのタカアシガニが問うと勢いよくマイワシが手を挙げた。

「はい!それはマグロ先輩です。勿論です。俺逃げますね!」

 ぽん、とマグロの肩を叩き満面の笑みを浮かべ小馬鹿にするように両腕を上に上げ一目散に逃げ出した。

「待たんかァ!マイワシィ!」

 それを真に受け鬼の形相で後を追いかる。
 それはまるで獲物を狩る瞬間にも見えた。

「待てと言われて待つ人がいるわけないでしょう。いーっだ!」

 そんなやりとりをし、勝手に鬼ごっこを始めてしまった二人の姿は見えなくなった。

「お二人さーん。制限時間は三十分ですからねー。もう、五分経ってますよー」

 一応、みたいな感じでのんびりと制限時間を伝えたまんぼう。

「前から言っているし大丈夫ですよ。それより、俺たちは監視に当たりましょう」

 そう言って仲良く部屋から出て行ったサメとまんぼう。
 一人部屋に残されたタカアシガニは……。

「じゃあ。私はマグロたちを追いかけようかね」

 こちらもまた、のんびりとマグロたちの後を追いかけだした。


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